歌舞伎座御名残三月大歌舞伎〔第三部〕2010年03月19日 23時37分38秒

「御名残」の文字がついた3月興行、歌舞伎座さよなら公演もあと2か月となった。第三部は13代目片岡仁左衛門と14代目守田勘弥の追善を兼ねた『道明寺』である。

勘弥の芸養子である玉三郎が、三婆の一つに数えられる覚寿に挑む。さすがに丁寧な演じ方で、菅丞相を何よりも大切に想う覚寿の目線で物語に立ち会う印象になり、観やすい。リアルに過ぎるという見方もあるのだろうが。

仁左衛門の菅丞相。今回が四演めとのこと。さすがに堂々たるもので当代の菅丞相はこの人と思わせる。私が前に観たのはまだ孝夫時代の初役の舞台。忘れもしない1995年3月20日の歌舞伎座――、日本中を震撼とさせた地下鉄サリン事件が起きた日だ。

前日から菊名の観劇仲間のアパートに泊まっていた私は、彼と一緒に日比谷線(!)で歌舞伎座に行くつもりだったのだが、すでに地下鉄は止まっていて、JRで有楽町へ。歌舞伎座まで歩いて行く間、妙に救急車がたくさん走っている日だなとは思ったものの、その理由は分っていなかった。役者たちは楽屋で事件のことを知っていたのかもしれないが、歌舞伎座の客席は平穏そのものだった。今なら安否を気遣う家族からのメールや電話に応える人たちで騒然となるのだろう。

あれから15年。今回の『道明寺』は仁左衛門の誕生日だった。

所見日:3月14日

コメント

トラックバック