中西健二監督作品『花のあと』2010年03月27日 22時39分49秒

『たそがれ清兵衛』の成功以来、乱発気味の藤沢周平作品映画化の一つ。

TVドラマ『ブザービート』でメジャーブレイクした北川“モップガール”景子がヒロイン・以登(いと)を演じる。思い切りのいい演技に好感は持っているのだが、さすがに時代劇主演は荷が重い。想われ人役の宮尾俊太郎も映画初出演とあって前半は痛々しいほど。父親役の國村隼や悪役の市川亀治郎が支えに入っても、なかなかカバーしきれるものではない。

で、中盤まで登場しな以登の許婚・才助に甲本雅裕。これがまた実に風采の上がらない男で、登場してからもしばらくは、ちょっとしたアクセントに過ぎないといった体でスクリーンの隅っこで目立たないように座っている――。ところが。

物語が佳境に入っていくにつれ、この男の存在感が少しずつ増してくる。一切を呑み込んで、誠実に淡々となすべきことをことをなしていく才助。物語が閉じられた時には、彼こそが全編の主人公だったのかと感じ入ってしまった。

『花のあと』というつかみどころのないタイトルが腑に落ちる、大人の滋味ある小品。

3月22日@109シネマズ四日市