金子修介監督作品『ばかもの』 ― 2011年01月29日 00時02分30秒
地方都市に生まれ育った三流大学に通う青年が主人公。彼の19歳から29歳までの10年に渡る彷徨を描いた作品。主演の成宮君が、巧く大人になっていくことができない青年を演じて秀逸。ちょっとガサツな風情のファム・ファタルを演じた内田有紀とともに、その愚かさが愛おしい。
映画化にあたり時代設定を99年から09年に移したために、新興宗教にのみ込まれていく美少女(中村ゆり)のエピソードがそのモデルであろうオウム真理教事件とタイムラグを生じていたのは気になったが、大きな瑕疵ではあるまい。ゼロ年代の荒涼とした地方都市の空気感を描いた秀作群のひとつに加えていい。
たまたま同じ日に見た『酔いがさめたら、うちに帰ろう』と同じくアルコール依存症を題材にしており、不勉強で知らなかった抗酒剤なるものが、どちらにも登場していた。映画としては艶やかさのある分、『ばかもの』の勝ち。
1月4日@シルバー劇場