トム・ストッパード作『ロックンロール』 ― 2010年09月16日 00時55分01秒
タイトルのイメージとは裏腹な3時間のセリフ劇。イギリスのマルクス学者とその弟子筋のチェコの青年の交流を軸に、1968年のプラハの春から現在までが描かれる。ロックンロールは、東欧の青年ヤンが愛した西欧発の音楽として物語を彩る。
市村正親や秋山菜津子といった手練れの俳優を揃えたこのカンパニーをもってしても、共産主義国家の混迷と滅亡を見つめるヨーロッパ左翼インテリゲンツィアの苦悩を日本人が血肉化するのは難しい。この舞台でその一端に触れることができたことは価値があったが、上演作品としては成功とは言い難い。改めて同じトム・ストッパードの、この3倍の長さの『コースト・オブ・ユートピア』を生々しく舞台化した蜷川演出の腕力に感嘆。
ローリング・ストーンズやジョン・レノンの音楽と同等かそれ以上にこの芝居の中で重きをなすのがピンク・フロイドであり、そのバンドを初期に去ったシド・ヴァレット(シド自身が幻影のように登場しさえする!)。中学生の頃、彼らの音楽に耽溺した身としては、たまらないものがある。
9月5日@森ノ宮ピロティホール