歌舞伎座八月納涼大歌舞伎〔第三部〕2009年08月16日 15時43分19秒

勘三郎を中心とした様々なムーブメントの基礎を作った歌舞伎座八月納涼大歌舞伎も今年で20周年、現在の歌舞伎座では最後の興行になる。

第三部で上演された『怪談乳房榎』は平成2年、最初の納涼大歌舞伎で評判を取り、その後も8月の人気演目として定着したもの(私は今回が初見)。現在系統が途絶えている実川延若系の演出を勘三郎が受け継いだわけだが、野田版で大成功した『研辰の討たれ』も、延若経由であることを思えば感慨深い。

三遊亭円朝の怪談だが、演出のトーンはあっさりした印象。眼目の勘三郎三役早替わりと、夏らしい本水演出を楽しめばいいのだろう。過去の上演を見ていれば、この20年の勘三郎・橋之助の成長も味わえたのかもしれない。最後にひと幕付け加えて、勘三郎四役目のサービスもあり。

『乳房榎』の前にもう一本、『お国と五平』。谷崎潤一郎の手による“仇討”を主題とした批評的な作品。納涼歌舞伎に出すのは初めてのようだが、これも『研辰』に通じる。屈折した侍・友之丞の三津五郎、一見純朴なのに隅に置けない中間・五平の勘太郎の巧さがこの作品に合っているが、扇雀のお国が不満。谷崎作品であればこそヒロインにはもっと素敵な色香があってほしい。

所見日:8月13日

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