河原雅彦演出『時計じかけのオレンジ』 ― 2011年01月31日 00時16分02秒
華やかな電飾座長芝居。キューブリックの映画版に反発した原作者アンソニー・バージェス自身による舞台版脚本というあたりも見どころだったようだが、結局、主役の小栗旬のファンをあてこんだプロダクションであるところがこの興行の眼目であり、限界だったか。こちらとしては、吉田鋼太郎、キムラ緑子、山内圭哉ら脇を固める役者たちを肩の力を抜いて楽しませてもらったが。橋本さとしもキャリアを重ねて堂々たるもの、そろそろ新感線公演に凱旋させたくなった。
1月10日@赤坂ACTシアター
串田和美演出『十二夜』 ― 2011年01月30日 21時35分13秒
今年の観劇初めに選んだ舞台だったが今一つ楽しめず。串田流のアレンジが私には邪魔だった。
砂浜(砂漠?)の上の仮設舞台での劇中劇のような構造を取っている。幕開きに限れば“難破船の記憶”として遠景の海の匂いが感じられ、『恋におちたシェイクスピア』の『十二夜』につながるエンディングを想起してちょっとワクワクしたのだが……。
ヴァイオラ(シザーリオ)/セバスチャンの二役を演じる松たか子、ラスト近くの一人芝居は圧巻だったが、もっと全編でチャーミングにできるはずなのに。オーシーノ侯爵をおおらかに演じた石丸幹二や、オリヴィアをいつにないキュートさで演じたりょう等配役自体は悪くなかったので、もっと素直な演出の『十二夜』で楽しみたかった。
コクーン歌舞伎の常連から抜擢された亀蔵もその魅力を十分に発揮できず。『NINAGAWA十二夜』での松緑(初演)や亀治郎の活躍と比較してしまうだけに無駄遣いに感じた。こういう趣味性の高い演出なら、むしろ地方の公共劇場で無名の俳優たちと一緒に作り上げるようなプロダクションの方が良かったのではないか。
1月9日@シアターコクーン
金子修介監督作品『ばかもの』 ― 2011年01月29日 00時02分30秒
地方都市に生まれ育った三流大学に通う青年が主人公。彼の19歳から29歳までの10年に渡る彷徨を描いた作品。主演の成宮君が、巧く大人になっていくことができない青年を演じて秀逸。ちょっとガサツな風情のファム・ファタルを演じた内田有紀とともに、その愚かさが愛おしい。
映画化にあたり時代設定を99年から09年に移したために、新興宗教にのみ込まれていく美少女(中村ゆり)のエピソードがそのモデルであろうオウム真理教事件とタイムラグを生じていたのは気になったが、大きな瑕疵ではあるまい。ゼロ年代の荒涼とした地方都市の空気感を描いた秀作群のひとつに加えていい。
たまたま同じ日に見た『酔いがさめたら、うちに帰ろう』と同じくアルコール依存症を題材にしており、不勉強で知らなかった抗酒剤なるものが、どちらにも登場していた。映画としては艶やかさのある分、『ばかもの』の勝ち。
1月4日@シルバー劇場
東陽一監督作品『酔いがさめたら、うちに帰ろう』 ― 2011年01月28日 18時14分29秒
一連のサイバラ映画シリーズのひとつと位置付けてもいいが、正確には西原理恵子の夫だった故・鴨志田穣の私小説が原作。浅野忠信・永作博美の強力タッグで悪かろうはずはなかったのだが、いまひとつ魅力を感じなかった。
西原理恵子の自伝的作品群は、夢や希望に逃げ込むことが許されない貧しさや不幸に満ちてはいるが、常に鮮やかな色彩で彩られている。『女の子ものがたり』『パーマネント野ばら』といったサイバラ映画は、その色彩感覚がしっかりと映像に活かされていたから成功したのだろう。鴨志田原作のこ映画にはその独特の色彩を持ち合せていないために、アルコール依存症の啓発映画の域を出ることができなかったと思う。
1月4日@シルバー劇場
作:中島かずき/演出:白井晃『ジャンヌ・ダルク』 ― 2011年01月27日 23時58分10秒
堀北真希の初舞台。時代に何かを背負わされたジャンヌ・ダルクというヒロインは、決して押しは強くないのに人気女優という立場に立たされてしまった、という雰囲気のある彼女になかなかふさわしくはある。
100人のエキストラを投入した戦争シーン等は見物だったが、それを除けば、白井演出はこういうプロダクションとしては地味すぎる気がした。衣装だけでももうちょっと華やかにした方がよかったんじゃないかな。
映画『海猿』大ヒットの伊藤英明、モデル上がりの長身が舞台に映えるかと思ったらオーラなく、これまた地味。
12月26日@梅田芸術劇場