鴻上尚史著『ヘルメットをかぶった君に会いたい』2006年10月03日 00時18分49秒

読了したのは1ヶ月半も前なのだが、やはりここに記録だけはしておくべきだと思いなおした。私にとってこれほどシンパシーを覚える作品も稀だからだ。23年前、第三舞台『デジャ・ヴュ』で鴻上作品に出会った時から感じていたもの、その核に触れた思いがする。ひょっとしたらこうした感慨こそ、作者の術中にハマったということなのかもしれないけれど。

昭和30年代生まれ、遅れてきた世代のコンプレックスを、全共闘の記録映像に残された“ヘルメットをかぶった彼女”の消息を追う過程――これを鴻上は“恋愛”と位置づける――に集約し、第三舞台創世期につながる自伝的エピソードも交錯させながら、リアルタイム・ノンフィクション風に描いてみせる。

2006年5月、野田秀樹『白夜の女騎士』が蜷川演出によりその隠された本質を露にされたのとほぼ同時に、この小説が上梓された偶然も興味深い。

8月14日読了