串田和美演出『十二夜』2011年01月30日 21時35分13秒

今年の観劇初めに選んだ舞台だったが今一つ楽しめず。串田流のアレンジが私には邪魔だった。

砂浜(砂漠?)の上の仮設舞台での劇中劇のような構造を取っている。幕開きに限れば“難破船の記憶”として遠景の海の匂いが感じられ、『恋におちたシェイクスピア』の『十二夜』につながるエンディングを想起してちょっとワクワクしたのだが……。

ヴァイオラ(シザーリオ)/セバスチャンの二役を演じる松たか子、ラスト近くの一人芝居は圧巻だったが、もっと全編でチャーミングにできるはずなのに。オーシーノ侯爵をおおらかに演じた石丸幹二や、オリヴィアをいつにないキュートさで演じたりょう等配役自体は悪くなかったので、もっと素直な演出の『十二夜』で楽しみたかった。

コクーン歌舞伎の常連から抜擢された亀蔵もその魅力を十分に発揮できず。『NINAGAWA十二夜』での松緑(初演)や亀治郎の活躍と比較してしまうだけに無駄遣いに感じた。こういう趣味性の高い演出なら、むしろ地方の公共劇場で無名の俳優たちと一緒に作り上げるようなプロダクションの方が良かったのではないか。

1月9日@シアターコクーン

コメント

トラックバック