新橋演舞場9月公演『魔界転生』2006年10月02日 00時00分44秒

言わずと知れた山田風太郎の傑作小説が原作。ファンとしては観に行かずばなるまいというところだが、その傑作の完全劇化であるとか、深作欣二監督映画の再現を期待したりせずに劇場に向かうのが大人の鑑賞態度というものだ。

あくまで、小説『魔界転生』に想を得た新橋演舞場の新規軸、と思えばそれなりの成果。伝奇時代劇としては『阿修羅城の瞳』等、新感線×松竹の傑作群と比較されやすいのでそのあたりも不利だし、突っ込みどころはいろいろあるものの、作・演出のG2が、自分たちができること、やるべきことを正確にとらえている点を評価すべきだろう。座頭である橋之助(柳生十兵衛役)の実直な芝居もこの作品のカラーを決定づけている。

前夜に蜷川演出『オレステス』を観ていた影響もあってか、成宮寛貴演じる天草四郎時貞の最期には、反乱(島原の乱)のカリスマに祭りあげられてしまった若者の悲劇を見た思いがした。

9月24日@新橋演舞場