君塚良一監督作品『容疑者・室井慎次』2005年09月05日 21時27分03秒

TVドラマ『踊る大捜査線』に続編があるのなら、それは室井管理官のその後の闘いを描くものであるべきだったと思っている。物語はそのようにして閉じられていたのだから。しかし、TVシリーズ放映終了後の過熱人気は、この作品がそのように正しく進化することを許さなかった。

硬直化した組織が、組織自体の維持や延命を目的化することにより、本来為すべき働きを損なっている時、組織の管理に携わる者が、どのようにしてその流れに抗していくのか。こうした地味で継続的な闘いを描くには、イベント的な映画制作は不向きだからだ。

室井管理官をタイトルロールとしたこの映画も、脚本の君塚良一が初めて監督したことにより従来のシリーズとは異なる趣こそ得ているものの、「逮捕された室井管理官」という特殊な設定ゆえに、彼の闘いが「現場」のそれにすりかわってしまい、結果として青島刑事の物語と本質的に同じものになってしまった。室井の個人史やその内面が多少描かれたとしても、マニア的なファンの興味を惹くにすぎないだろう。

警察官僚として組織にとどまることを、青島にも望まれ、自らもそれを選択した室井慎次の、組織の中での闘いを見たかったというのは、ないものねだりだろうか。

8月28日@ワーナーマイカルシネマズ津

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