大森立嗣監督作品『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』2010年06月28日 13時55分03秒

青春映画とは、いい年をした大人が現実から逃避して、bitter&sweetなノスタルジーの世界に浸ることを許すものだと思っている。だが、この作品は違う。2010年のこの国で、大人として生きていることの責任を厳しく突きつけてくる。

感情すらも渇き、ひび割れた魂の彷徨。ハツられるコンクリートは彼らを閉じ込める壁というよりも、彼ら自身を象徴しているかのようだ。痛ましいほどに無知で愚かなな青年たち。だが、それは甘えや怠惰によるものではなく、決定的な教育の不足が彼らをそこに追い込んでいる。予告編に添えられた「時代が生んだ私たちの子ども」という惹句が改めて胸に刺さる。

主演の松田翔太、高良健吾も好演しているが、ブスでバカなヒロイン・カヨちゃんを演じた安藤サクラが出色。このところ立て続けに出演作が公開されている彼女の存在が、日本映画に新たな幅を与えているような気がしている。

監督の大森立嗣は麿赤兒の長男、大森南朋の兄だそうだ。吃驚。

6月20日@ユーロスペース