つかこうへい原作『広島に原爆を落とす日』2010年09月04日 09時16分41秒

つかこうへいが逝った夏。岡村俊一演出・筧利夫主演による熱い追悼公演。

この作品は最初に小説を読んで、98年にいのうえひでのり演出の舞台を観たが、パンフ解説等によればその祖形は戯曲『戦争で死ねなかったお父さんのために』であり、その後上演を重ねる中でメタモルフォーゼして『広島に原爆を落とす日』となり、最終的に犬子恨一郎を主人公とした小説版として完成したという経緯のようだ。

今回、岡村・筧組は、その完成形である小説版の舞台化に挑んだ(構成はやはりつかの薫陶を受けた渡辺和徳)。よくもまあ、そんな高いハードルに挑んだものだと思うが、つかの意志を継ごうという覚悟と心意気が、いつになくしまった舞台として結実していたことには拍手を送る。ただしラストシーンには違和感。私は「英霊」という言葉があまり好きではないのだ。

この舞台の直接の評ではないが、扇田昭彦氏が雑誌『シアターガイド』(9月号)に寄せた追悼文で、後期つか演劇を「つか歌舞伎」と表現したいのうえひでのりの言葉を紹介していた。なるほど! 前期つか演劇を観ることのできなかった私は、その伝説として聞く舞台と自分が観てきた舞台とのギャップの正体がつかめないもどかしさをずっと感じていたのだが、この言葉でとてもスッキリした。

8月29日@森ノ宮ピロティホール