蜷川幸雄演出『ファウストの悲劇』2010年07月21日 00時30分20秒

シェイクスピアにちょっと先行する劇作家クリストファー・マーロウの作品。映画『恋に落ちたシェイクスピア』でルパート・エヴェレットが演じていたのを記憶しているが作品は初見。

エリザベス朝時代の戯曲なわけだが、蜷川版の幕が開くとそこには『天保十二年のシェイクスピア』を始めとする井上ひさし初期戯曲×蜷川シリーズのような賑やかな世界が展開。後でパンフの蜷川発言を読んだら、やはりそういう意図はあったようだ。蜷川演出には珍しくフライングも多用する等、久しぶりにケレンあるビジュアルが楽しめる。

メインキャストに野村萬斎、白井晃、長塚圭史といった演出家としての比重も高くなっている面々を起用。これもまた蜷川スクールの一環?

この戯曲の上演を提案したのは蜷川自身ではなくプロデューサーのようだが、蜷川はかなり自分に引き付けて解釈した印象。タイトルロールを演じた萬斎は持ち前の不遜な雰囲気でファウストを造形。蜷川演出とがっぷり四つ、というよりも蜷川自身の憑り代をつとめているかのよう。

そのファウストをインチキ呼ばわりする騎士ベンヴォーリオに新世代の演出家である長塚を配したあたりが面白い。

7月11日@シアターコクーン