いのうえひでのり演出『怪談牡丹燈籠』 ― 2009年08月19日 18時52分26秒
三遊亭円朝の人情噺を元に大西信行が新劇に書き下ろした作品で、その後歌舞伎のレパートリーにもなっているもの。今回はシス・カンパニーの企画製作による公演にいのうえひでのりが招かれた。いのうえテイストを新感線公演よりもソフィスティケートさせたかたちで活用するあたり、名プロデューサー・北村明子の手腕はさすがというところ。
北村の信頼篤い段田安則の伴蔵が芝居の軸。その妻お峰を演じた伊藤蘭から『8時だよ!全員集合』仕込みのコメディエンヌぶりを引き出したのはいのうえの手柄か。もうひと組のカップル、お国・源次郎には秋山菜津子と千葉哲也という手堅い配役でこれも効果的。市井の人々の愚かでささやかな欲望が凶悪な殺人へと横滑りしてゆく瞬間を捉えた戯曲、それを鮮やかに舞台化した演出は大人の仕事である。
若々しい色どりの新三郎・お露は瑛太と柴本幸。初舞台の瑛太は持ち前のナイーブさが活かされ清新。柴本は華やかさも儚さも欠け残念、もっとタフなヒロインの方が似合いそうだ。
8月15日@シアターコクーン